漫画『ヒカルの碁』(全23巻)を一気読みしました。続編はよ!あらすじと考察

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ジャンプ+のアプリで毎週1話ずつ『ヒカルの碁』を読んでたんですが、毎週1話ずつの遅々とした進みに我慢できなくなって、Amazonでkindle版を全巻大人買いして一気読み!

はじめは全然面白いとも思わなくて、絵を描いているのがあの小畑健先生であることにすら気づかない有様。「平安時代の変な帽子を被った亡霊が憑りつくとか、のれねーなぁ」とか思ってました。

しかし、亡霊・佐為がsaiとしてインターネット対局をするあたりからハマりだして、ヒカルが院生になってからは毎週スゲー楽しみにしてました。

そして、第55局(話じゃなくて局って書くんですよ~)で、和谷が対局中に「ヒカルがsaiなんじゃ?」と疑う、めちゃくちゃ続きが気になる所で話が終わってて、居ても立ってもいられなくなって、マンガ全巻一気買いですよ!

朝方まで読みふけってしまいました。

いや~、めちゃくちゃ面白かったです。やっぱり売れた漫画は良作が多いですね!小畑さんの絵も「ヒカルの碁」を描く過程でぐんぐん進化していったのが分かります。

でも、『ヒカルの碁』って主人公とほぼ同格の佐為は途中で消えちゃっても話が続いていくし、人気漫画だったにもかかわらす「描き切ってる!」という感じがしませんでした。

今回、色々と『ヒカルの碁』について考えてみたので、まとめ記事を書いておきます。続編の可能性についても考察しています。

ちなみに、僕は碁は打てません。どちらかというと将棋派です。将棋は小学生の頃、結構真面目にやってたことがあるので、割と分かります。碁は子供の頃に覚えようとしたけど、ルールが全然わかりませんでした(汗)

ヒカルの碁:ネタバレあらすじ

ヒカルの碁は大きく2部構成になっています。17巻までの「佐為編」から、番外編を1冊挟んで、23巻までの「北斗杯編」です。ざっくりとしたあらすじです。

佐為編

ごく普通の小学6年生、進藤ヒカルに平安時代の亡霊、藤原佐為(ふじわらのさい)が憑りついたところからお話は始まる。碁の達人でありながらこの世に未練を残した佐為は成仏できずにヒカルの祖父が所有する古い碁盤に憑りついていたのだ。

佐為は、「神の一手」を極めるべく、ヒカルの身体を借りて碁を打ちたがる。はじめは面倒に思っていたヒカルだったが、後にライバルとなる塔矢アキラや、その父親で現代囲碁界のトップに君臨する塔矢行洋などとの出会いを通じて、ヒカルは碁の面白さに目覚めていく。

中学にあがったヒカルは、幼馴染のあかりといちゃつきながらも囲碁部で腕を磨き、塔矢アキラの背中を追ってプロの道へ進むことを決める。プロ養成機関の門を叩き、「院生」となる。毎晩、佐為を相手に囲碁を教わってるわけだから、そりゃメキメキ強くなるわ。

佐為がヒカルの代わりに打つと強すぎちゃうんで、佐為が打つのは基本、禁止!はじめは碁を知らないヒカルがプロ級の実力を持つ塔矢アキラをこてんぱんにやっつけちゃったもんだから、ヒカルは囲碁界の実力者から目をかけられることになったり。当初は塔矢アキラもヒカルを追っていた。(後にシカトされるようになる。)

佐為にも碁を打たせてあげられるように、インターネット対局で「sai」というハンドルネームで対局させることに。これがめちゃ強いので、囲碁界で評判になり「saiとは誰だ?」という話になる。

ヒカルはプロ試験を見事に突破し、ついにプロの世界へ。ライバルと認められたくて塔矢アキラの背中を必死で追う。片や、佐為は塔矢行洋と対局をしたくて仕方がない。そこで、ヒカルは入院中の塔矢行洋とsaiによるインターネット対局をセッティングする。

佐為は塔矢行洋との一局で勝利するが、対局後にヒカルが指摘した一手は、佐為も思いつかないような妙手であった。「亡霊として生きてきたのは『この一局をヒカルに見せるためだった』」と佐為は考え、自身がヒカルに憑りついた役目が終わりに近いことを予感する。

そして、佐為はヒカルの中から突然消える。

突然すぎる別れを受け入れられないヒカルは自分を責め、碁を打たなくなる。が、韓国で修行を積んだ院生時代の仲間の伊角の言葉により、ヒカルは自分が碁を打つ意味を取り戻す。

佐為は消えたが、塔矢アキラとの対局の中で、ヒカルは自身の碁筋の中に佐為が生きていることに気づく。その夜、ヒカルは夢の中で佐為と再会する。

北斗杯編

日本・中国・韓国による3対3による団体戦が描かれる。ヒカルは塔矢アキラらと共に日本代表メンバーに選ばれ、韓国と中国のライバル達と対決する。

大会では、塔矢アキラが2勝するも、ヒカルは一勝もすることができず、日本は最下位となる。しかし、韓国戦では大将を務めたヒカルは、韓国碁界の若手トップの高永夏を僅差まで追い詰める。

「なぜ碁を打つか?」と聞かれたヒカルは佐為を思い、「遠い過去と遠い未来を繋げるためだ」と答える。

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ヒカルの碁:感想や考察あれこれ

「すごく面白かった!読んだ方がいいよ!」で済ませてもいいんですが、個人的な感想を書いておきます。

何が面白いって、ヒカルの成長物語としても面白いですけど、なんといっても、インターネット上にのみ存在する佐為(sai)を巡るミステリー的なやりとりが面白かったです。

すごい強いプロの人が、ヒカルの中に佐為を感じて「コイツ、何者?」って思うんだけど、実際のヒカルは大して強くないんで「???」ってなるっていう。と思ったら、また「まさかコイツが・・・」みたいな揺さぶりがいいですね。ヒカルが秘められた力を発揮する場面は痛快でした。

ヒカルには何か秘められた力がある・・・。「秘められた力=憑りついた佐為」なんですが、あくまでも佐為とヒカルは別の人格で、ヒカルは佐為の力を触媒にして独立して成長していくんです。その過程での2人のやり取りがまたいい!

佐為はミギーだ!

何かに似てると思ったら、コレって岩明均先生の『寄生獣』ですね!「憑依もの」であり「コンビもの」の王道。

寄生獣は、普通の高校生だった泉新一が右手に宿った寄生生物・ミギーの超パワーによって異次元の世界の戦いに放り込まれながらも、ミギーを触媒に独自の成長・進化を遂げていきます。そして、最後には憑依した者(ミギー)は役目を終えて去っていきます。夢で会えたりするのも似てますね。原作のほったさんは『寄生獣』を意識されてたんでしょうか。

第一部で佐為が消えてしまっても、お話が続いていくっていうのは意表を突かれましたね。「ドラえもん」で言ったら、「さようなら、ドラえもん」のあとに、ずっとドラえもんのいないのび太くんの生活が描かれるみたいなもんですからね。佐為もまた出てくると思ったら、結局出てこないし。

第一部で終わっていても良かったと思うんですけど、あそこで終わらせるにはキャラが魅力的過ぎましたね。作者側は第一部で終わらせるつもりだったのかもしれませんが(実際、第一部のあと中断があったみたいですし)、ジャンプの人気漫画の宿命か、ドラゴンボールよろしく簡単には終わらせてもらえなかったんでしょうね。

※ だから、ネットの一部で噂されているような「韓国からの圧力で連載終了した」というような事実はなかったと個人的には思います。日本が結局韓国に勝てなかったのは、韓国の囲碁界を取材したほったゆみさんが日本とのレベルの違いを感じて「リアルに合わせた」ってインタビューで言っていました。まあ、高永夏が美形すぎたりするあたりは多少の配慮があったのかもしれませんが。

「ヒカルの碁」の続編の可能性は?

逆に、第二部を描いたことで、ストーリー上の完結感が薄れたように思います。だからこそ、お話の終わりは”「北斗杯編」終”であって、”「ヒカルの碁」終”とはなりませんでした。まだいくらでも続きができる終わり方ですもんね。第一部で完結でよかったんじゃないかとも思います。

でも、第二部が描かれてしまった以上は、続編が読みたくなります。成熟しきった小畑健先生の絵で、その後のヒカル達の活躍を読んでみたいです。

ただ、連載終了からもう14年も経ってるので、さすがに「ない」気がしますね・・・。『キャプテン翼』でも、本編の終了から5年くらいで復活しています。まあ『キャプテン翼』みたいにどんどん続けて欲しいですけどね。

世間で囲碁ブームが起こって、囲碁界に注目が集まって、『ヒカルの碁』が再評価されるような機運が高まってくれば続編もあるかもしれませんが。高橋陽一先生における『キャプテン翼』やゆでたまご先生における『キン肉マン』が人生をかけて生み出した漫画になったのに対して、小畑健先生は多作で大忙しですから、それでも難しいかも・・・。

まあ、作品のファンとしては続編を期待してずっと待ちつづけますけど。

※『キン肉マン』は全36巻で完結後、なんと22年の時を経て第37巻が出ています。

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10年後のヒカルと塔矢アキラ

『ヒカルの碁』の10年後を描いたエピソードがあるっていう噂もありますが、小畑健先生が10年後の2人の姿を予想して描いたサービスイラストが一人歩きして、そういう噂につながっただけみたいです。

10年後のイラスト⇒(Google画像検索結果

ヒカルのヘンテコな髪型は、子供時代は可愛かったですが、大人になるとちょっとキツイものがありますね。YouTuberのヒカル氏はこの半分金髪っていうのをパクって横にズラしたんでしょうねー。

ほったゆみさんのその後の作品

小畑健先生のその後の活躍は言うに及ばすですが、原作者のほったゆみ先生のその後の作品は『ユート』『はじマン チャレンジ!はじめてのマンガ』なんかがあります。どちらも2,3巻で終わってしまってますが。

『ユート』は読んでないですけど、『はじマン』は面白いですよ。「漫画って気軽に書けるんだよ~」っていう内容ですが、漫画書いてみたくなります。

ほったゆみ先生は、旦那さんの堀田清成さんと2人で仕事をされているので、分裂する前の藤子不二雄先生みたいに、二人で一人みたいな作家さんです。実際、インタビュー記事によると「ヒカルの碁」もほぼ夫婦の共同作品だったようです。ちなみに、旦那さんは競馬漫画を描いていた方みたいです。

コチラでほったゆみさんのインタビュー記事が読めます。(全4回)

まとめ

「キャプテン翼」が日本のサッカー界の発展を大きく後押ししたように、「ヒカルの碁」の人気で、碁をはじめた子供も多かったんでしょうね。関達也プロ、常石隆志プロなんかは「ヒカルの碁」の影響で碁をはじめたことを公言していますね。日本だけじゃなく、台湾の黒嘉嘉(ヘイジャージャー)七段も「ヒカルの碁」の影響で碁をはじめたそうです。(中国では『棋魂』、韓国では『ゴースト囲碁王』というタイトルになってるみたいです。韓国の『ゴースト囲碁王』は笑えますね(笑))

マンガの影響力ってすごいですよね。読んだ人の進む道を変えてしまう力がありますから。

『ヒカルの碁』、スーパー面白いので、未読の人は読んでみて!読まないのは人生の損失です。

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3 件のコメント

  • 2001年ぐらいでしょうか、ヒカルの碁を読んでいて、友達も読んでいて、一緒に、やっていました。今回の光る一手は、と友人が解説してくれました。早稲田大学出たデザイナーだったけれど、諸葛孔明の霊を入れたら、少しはいい手が浮かぶかと思いましたが、やっぱり、表面意識の訓練が前提となるので、自分の実力いじょうになりくかったです。義塾百話かいてたころかな。ショパンを入れたピアノコンサートはたくさんやりました。それはそれなりに、実力以上のものが出ました。伸びしろありますね。音源もとっています。

  • 当時小学生で、1年ほどですが囲碁を習っていました。ヒカルが佐為を超える棋士になるところを見てみたい気持ちもあるのですが(現代の碁を覚えた佐為は北斗杯どころか誰にも劣らないキャラとして描かれていたと思うので)、これでよかったと思える作品の結末でした。そのおかげで、今でも彼らの道は続いているんだな、という感覚があります。
    saiを巡る話は懐かしいですね。
    ストーリーは似てないんですけど、ハリーポッターに近い魅力を感じます。特別な力を持つ子供がいて、同世代からトップの人たちがそれに興味を持ってあれこれ奔走する。その過程で、他のキャラたちが弱く見えたりダサくなっていないのが良いなと思います。個人的には特に緒方九段がいい味出してました。
    GBAの無印もやりました。面白かったです。が、奈瀬ルートしかやりませんでした(笑)(ルートじゃなくて、好感度高いキャラだけ後日エピソードがあるとかだったかな?)

  • 2年に一度は読み返したくなります。

    やはり…
    おもしろい!!!

    ヒカルの成長の様、アキラの成長の様、佐為の天才的な才能があるにもかかわらず貪欲な姿勢(他の棋士もそうですが)

    ネット碁のあたりは痛快で読んでいて気持ちがいいです。

    読み終える度に碁を始めようと思うのですが…
    なかなか始まらない(笑)

    こちらのページも楽しく読ませていただきました!
    ありがとうございます!

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